2015年8月21日金曜日

告白


好きになっちゃいそう。

帰りしなにそんなことを言われたのは初めてだ。
うろたえずに、去り行くその人に手を振り見送る。
その人は気恥ずかしそうに目を逸らした。

まるで、本当に恋をしている素振りにドキッとする。

夏の終わりの背中を見守りながら。




ガイドとしてちまちまと積み重ねてきた自尊心は、店にいると傷ついていく。whyが増える。

外にいると中に入りたくなくなるし、中にいると外がかったるく、どちらかが一方にはお荷物でしかなく、ちょうどよいあんばいを見出だせずにぐだぐだとここまで来てしまって、ケーキに夢中なのは、傷口をなめるためなのかもしれない。

目立ちたくて生きてきたわけではないが、いつも気づけば、人のいない道いない道に導かれ、意思とは関係なしに浮いてきた。
嫌でも浮いてしまううちに、いつしかぼくは注目を浴びることに依存していたのだろう。ガキ臭いが自分が一番目立つ場所にいないと駄目なのかもしれない。

ガイドと店は、ベクトルがかけ離れている。そのため、役割分担をしているところが大半だ。簡単に兼任できることではないのだろう。

Please tell me 二つの円の重なり合うところ。そこを見つけられないなら、多分ぼくにここにいる意味はない。

素足が見た目に季節外れな秋。愛想なしの君が笑った。放課後のチャイム、まだ帰りたくない。唄うような君の声に耳をすませる。窓からさしこむまろやかな日差しに目を細めつつ、君の横顔を盗み見やる。
君の顔が好きだ。たまたま一緒の二人きりの帰り道。みんなといるときにはいくらでも笑わせられるのに、今のぼくといったら情けないことにどきまぎして目も合わせられなくなってしまう。いつものことだ。ラフなツアーが今のぼくには性に合っている。あまりちやほやはしない。対等に、適当にスケッチしている。
好きな人のことを好きだと気づくのが遅いのは昔から変わらない。あと何回踏ん張れば夏は終わる。会いたいとあちこちから声が賑やかだ。サービスしに秋に一度東京入りするか。





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